相続があったときは?

遺産相続,遺言書作成などの相続手続を円滑に進め,「安心」と「平穏な時間」を得ていただくために,相続法・不動産登記法を専門とする司法書士が,無料であなたのご質問にお答えしています。

相続があったときは?

法定相続人と相続分

 相続の手続は,まず「誰が」「どのような割合で」財産を受け継ぐのかを確認するところから始まります。遺言があればそれに従いますが,遺言がなければ,民法という法律によって次のように定まります。

 

亡くなった方に,子がいる場合

daiichi-graf 配偶者が全財産の1/2を,子が1/2を相続します。 子が複数いるときは,この1/2をさらに均等に分けます(平成25年9月4日までに遺産分割が成立していなければ,夫婦間の子(嫡出子)と婚外子(非嫡出子)との相続分は,平等に扱われます。)。

また,子が先に亡くなっているときでも,孫以下の直系卑属(ちょっけいひぞく)が子に代わって相続人となります(代襲相続)。 配偶者がいないときは,子がすべてを相続します。

 

亡くなった方に,子がいない場合

daini-graf 配偶者が全財産の2/3を,親などの直系尊属(ちょっけいそんぞく)が1/3を相続します。 配偶者がいないときは,直系尊属がすべてを相続します。

 

亡くなった方に,子も,親・祖父母もいない場合

daisan-graf  配偶者が全財産の3/4を,兄弟姉妹が1/4を相続します。 兄弟姉妹が複数いるときは,この1/4をさらに均等に分けます。ただし,再婚などで親の異なる兄弟の相続分は,両親の同じ兄弟の半分とされています。ま た,兄弟姉妹が先に亡くなっているときでも,その子(おい・めい)が兄弟姉妹に代わって相続人となります(代襲相続)。 配偶者がいないときは,兄弟姉妹がすべてを相続します。

 

 相続人の確認は,通常,亡くなった方の戸籍謄本を生まれた時点までさかのぼって集めて行います。戸籍は,婚姻や本籍の移転があった場合に新たに作られるほか,明治・大正・昭和・平成の各時代に形式が変更されていますが,それらの全てが必要となる点に注意してください。

相続財産の調査

 相続人・相続分の確認とあわせて必要なのが,「相続される財産には何があるのか」の確定です。相続 財産となるのは,亡くなった方が保有していたすべての財産ですが,ゴルフ会員権で「死亡したときは資格を失う」という定めがあるものなど,本人のみに限ら れる権利は,相続されません。また,生命保険金や死亡退職金は,相続税を計算するときには相続財産とみなされますが,本来は相続財産ではなく,受取人の個 人財産にすぎません。誤って遺産分割の対象としないようにしてください。
相続財産の調査は,預金通帳や権利証など手元にある資料をもとに進めていくことになりますが,納税記録や法務局の登記記録を利用することもあります。相続財産に見落としがあると,後になって遺産分割をやり直すことになりますので,特に注意が必要です。

遺言書を発見したとき、相続放棄をしたいときなどは・・・

 発見された遺言書が公正証書遺言でないときは,検認(遺言書の証拠保全手続)を受けなければならず,勝手に開封することはできません。
また,資産よりも債務の方が多く,相続をしたくないような場合には,その事実を知った時から3か月以内に,相続の放棄が必要です。
さらには,相続人の中に未成年の方,行方不明の方,高齢や障がいで意思表示が難しい方がいるときは,その方の代理人を選任する必要が生じます。
これらの手続は「家事審判」と総称され,すべて家庭裁判所で行われるものです。家事審判の申立てにあたっては,内容ごとに必要書類と費用が定められています。
(参考URL)裁判所のホームページ
http://www.courts.go.jp/

遺産の分割

遺産分割協議

 「相続人」と「相続財産」が確定すると,いよいよ遺産分割協議に入ります。遺産分割協議 は,相続分に従った価額の割合で,誰がどの財産を取得するかを話し合って決めるものですが,必ずしも厳密に行う必要はなく,各相続人の年齢・職業・生活の 状況などを総合的に判断して行うものとされています。実際にも,家業を継いだ相続人や老親と同居して面倒を見た相続人が,独占的に遺産をもらうような形で 協議がまとまることも少なくないようです。 遺産が現物のままで分割しきれないときは,売却してお金に換えて分配することもあります。

特別受益と寄与分

 遺産分割にあたっては,特別受益と寄与分とが考慮されます。
『特別受益』とは,遺贈や結婚資金・事業資金などの贈与を受けた相続人がいる場合に,①その「贈与などの金額」を「相続財産全体の金額」に加えた上 で,②各相続人の「相続分の額」を計算し,③贈与などを受けた相続人の「相続分の額」から既にもらった「贈与などの金額」を減額するものです。場合によっ ては,相続分が残らないこともあります。
特別受益でよく問題となるのが,一部の相続人だけが生命保険金を受け取っている場合ですが,生命保険金の受取りは,特殊な事情がない限り特別受益にはあたらないと考えられています。
『寄与分』とは,亡くなった方の介護をしたり,事業を手伝ったりした相続人がいる場合に,①その「貢献した金額」を「相続財産全体の金額」から差し引い たうえで,②各相続人の「相続分の額」を計算し,③貢献をした相続人の「相続分の額」に「貢献した金額」を増額するものです。
寄与分は特別受益と違い,貢献度を金銭で評価することが難しいため,過去の裁判例を参考にして判断せざるをえない所があります。

遺産分割調停・審判

 相続人同士で遺産分割協議がまとまらないときには,家庭裁判所の調停を利用することができます。調停は,民間から選ばれた有識者(調停委員)を交えて,お互いが譲り合って問題の解決を図るものです。 残念ながら調停がまとまらなかったときは,家庭裁判所が調停の内容をふまえた上で,どのように遺産を分割するかの審判をします。審判に不服があるときは,高等裁判所に抗告して,不服を申し立てることが可能となっています。

不動産の相続登記

 不動産を取得した方が,自分の権利を他の人に認めてもらうには,登記をする必要があります。遺産分割が終わったにもかかわらず,登記をしないで放置しておくと,最悪の場合には大事な権利を失ってしまうこともありますので,早めの登記申請を心がけましょう。 登記の申請にあたっては,必要書類が法律で定められています。また,登録免許税の納付も必要です。
(参考URL)法務省民事局のホームページ
http://www.moj.go.jp/MINJI/MINJI79/minji79.html

預貯金の名義変更など

 預貯金は,当然に相続財産に含まれますが,実は遺産分割の対象にはならず,各相続人が別々に相続分 の割合で払戻しを受けられることになっています。ところが,多くの銀行ではこれと異なった取扱いがされており,相続人全員の印鑑証明書を付けて一括して払 戻しをするよう求められます。相続人全員の協力が得られるときはよいですが,それができないときは,やむを得ず裁判所を利用することもあります。
なお,現金・株式などは預貯金と違い,ひとつひとつが遺産分割の対象になりますので注意してください。 当事務所では,面倒な戸籍の取寄せから,遺産分割協議書・家庭裁判所提出書類の作成,不動産などの名義変更まで,最新の専門知識をもとに相続手続のお手伝いをさせていただきます。先ずはお電話・メールにて,無料相談をご利用ください。 手続の費用につきましては,本サイト内「報酬のご案内」のページで情報提供をしておりますので,合わせてご覧ください。