相続税と相続時精算課税制度

相続税と相続時精算課税制度 : 相続・遺言・成年後見のご相談はたぐち司法書士事務所へ

相続税と相続時精算課税制度

相続税とは

 相続人(や遺贈を受けた方)が,特に多くの財産を取得したときは,相続税がかかってきます。もっとも,相続税には様々な控除や軽減が認められており,実際に納付が必要な人は全体の2~3%にすぎないと言われています。
(参考URL)国税庁のホームページ
http://www.nta.go.jp/zeimokubetsu/sozoku-zoyo.htm

基礎控除

相続税には,大きな基礎控除が認められています。
すなわち,相続財産の額が,『5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)』より少ない場合には,相続税はかかりません。例えば,法定相続人が3人いれば,相続財産が8,000万円あっても,相続税の申告・納付は不要となります。

相続税の計算の流れ

 相続税の計算は,次のような流れとなっています。

1.各相続人(や遺贈を受けた方)が取得する相続財産の額を合計します。
※相続財産の額には,①亡くなった方が死亡した時に保有していた財産のほか,②生命保険金や死亡退職金のような「みなし相続財産」,③亡くなった方が死亡の時から3年以内に贈与していた財産,④相続時精算課税制度を利用して相続人に贈与していた財産を含めます。
※逆に,①仏壇やお墓,②生命保険金のうち「500万円×法定相続人の数」の部分,③死亡退職金のうち「500万円×法定相続人の数」の部分,④公益事業に寄付された財産などは,相続財産の額に含めません。
※財産の評価方法は,財産ごとに細かく定められています。「小規模宅地」や「中小企業の自社株式」などは,特に評価額が軽減されています。
(参考URL)国税庁のホームページ
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hyoka/zaisan3.htm
※亡くなった方の債務(借金,未払いの税金など)や,葬式費用は,相続財産の額から差し引くことができます。

2.『相続財産の合計額』から,上でご紹介した『基礎控除の額』を差し引きます。
※基礎控除の額は,5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)です。
3.『基礎控除後の残額』に,相続人ごとの『法定相続分の割合』を掛けて,相続人ごとの『法定相続分の価格』を算出します。
4.相続人ごとの『法定相続分の価格』に税率を掛けて,それぞれの相続税額を求め,再度これらを合計して,『相続税の総額』を算出します。
※いったん法定相続分の割合で税額を計算するのは,実際の取得の割合で計算してしまうと,ケースによって相続税の総額が変わってしまうためです。
※「相続税の総額」は,国税庁のホームページで概算を知ることができます。
(参考URL)国税庁のホームページ
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4155.htm
5.『相続税の総額』を,各相続人(や遺贈を受けた方)が実際に取得した遺産の割合で配分します。
この配分された額が,各相続人が負担する『相続税の額』となります。

配偶者の税額軽減

 配偶者は,相続税が大きく軽減されています。
すなわち,配偶者が相続する財産が法定相続分の範囲内であれば,相続税はかかりません。 また,法定相続分を超えるような場合でも,財産の額が1億6,000万円までであれば,相続税はかからないことになっています。

 相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは?

 「相続時精算課税制度」とは,生前贈与をする場合に,贈与税ではなく,相続税の水準で課税を受けることを選べるものです。相続税は,贈与税よりも税負担が軽いため,通常は節税が期待できることになります。
(参考URL)国税庁のホームページ
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/souzo34.htm

制度を利用するには?

 相続時精算課税制度を利用するためには,次の2つの条件が必要です。
①贈与をする年の1月1日時点で,贈与をする方が65歳以上,贈与を受ける相続人の方が20歳以上であること
②贈与があった年の翌年2月1日から3月15日までに,贈与を受けた法定相続人が税務署に届出をすること
※住宅取得資金の贈与や,中小企業の株式の贈与については,年齢制限が緩和され,制度が使いやすくなっています。

税額の計算

 相続時精算課税制度を利用した場合には,贈与の際に,いったん「贈与財産のうち2,500 万円を超える部分に一律20%を乗じた額」を贈与税として納めておき,後日に相続があって相続税を納付する際に,差額を精算することになります。贈与の際 に納めた額が相続税の額よりも多いときは,差額が還付されます。
※住宅取得資金の贈与や,中小企業の株式の贈与については,贈与の際に非課税となる範囲(金額)が拡大され,制度が使いやすくなっています。

 税制度は,毎年のように改正がされます。また,相続財産の評価などのように,専門的な知識も必要なため,税理士に相談されることをおすすめします。 当事務所では,協力関係にある税理士事務所の紹介も行っております。信頼できる税理士をお探しの方は,ぜひご利用ください。